とさでん交通(高知市)は21日、2023年度の決算を発表した。当期純損益は9100万円で、5年ぶりに黒字に転じた。前年度は4800万円の赤字だった。ただ、23年度の黒字分には路面電車の減収分を高知県や市町が補塡(ほてん)するコロナ関連給付の1億3600万円が含まれており、苦しい経営は続く。
営業収益は46億9200万円(前年度比16・6%増)だった。営業損益は4億3千万円の赤字で前年度(8億7600万円の赤字)から改善し、増収増益だった。
輸送人員は路面電車が476万人、路線バスが244万人。いずれも前年度から増えた。ただ、コロナ禍前の2019年度比では路面電車は11・1%減、路線バスは16・1%減で、「コロナ禍から回復傾向にあるが、戻っていない」とした。
樋口毅彦社長は「コロナ対応の5類移行や『らんまん』の放送などで追い風が吹いた」と述べた。乗務員不足が深刻で、路線の縮小案を示している路線バスについて、「利用促進の努力を続けるが、人口減少などで輸送人員は今後減るだろう」との認識を示した。
同社は2014年、旧土佐電気鉄道と旧県交通を統合する形で県と関係12市町が出資して発足した。(亀岡龍太)